Preen FM2について
PreenFM2はひとことで言えばDIYできるFMシンセです。
Xavier Hosxeという方が100%オープンソース及びオープンハードウェアという形でサイトに公開されています。
最大14ボイスポリフォニー(6オペレーターの場合は8)、3,4から6オペレーターによる28個のFMアルゴリズムが使用可能です。
オペレーター機能として、7つの組み込まれた波形に加えて、ユーザーがカスタマイズできる波形を6つまで読み込みが可能です。
YAMAHAのFMシンセであるDX7とファイル互換があります。
また、128のScalaマイクロトーナルスケールがあり、この機能はAphex Twinで有名なRichard D.Jamesのリクエストによるもので、公式サイトのフォーラムでも言及していますね。
また、MacやWindows上でPreenFM2のパラメータを編集できるeditorもあります。
スペックについてまとめると以下の通りです。
- PreenFM2スペック
- パート数:4パート
- 最大同時発音数:14音
- 構成:3/4/6オペレーター、28アルゴリズム
- 7つのモジュレーター:3x LFO、2x エンベロープ、2x ステップ・シーケンサー
- デジタルマルチモードフィルター
- 12スロット・モジュレーションマトリックス
- アルペジエーター
- マイクロトーナルスケール:128
- プリセット:64×128
- パフォーマンス:8×128
- DX7のプリセット:256×32
- 入出力
- AUDIO OUT (ステレオ)
- MIDI IN/OUT
- USB
- DC IN (7.5V ~ 9V)
製作準備
公式のサイトからPCBとマイクロコントローラーが購入可能です。
電子部品は公式サイトでBOMリストがまとめられていますが、Mouserでもプロジェクトリストが登録されています。
但し、部品の在庫切れがあったりするので、適宜代替品に変更するなどして対応してください。
ケースは公式のサイトでは扱っていませんでしたが、Van Dall Electronicsというサイトから購入可能です。
Van Dall Electronicsは他にフルキットやユーロラックマウント用のPreenFM2も扱っているので、部品を揃えるのが面倒な方はこちらから購入してもよいでしょう。
製作について
製作については、それほど複雑な実装ではないため公式サイトのThe Buildを参照しながらはんだ付けしていけば大体製作できると思います。
製作していて注意する点があるとしたら、基板裏面の写真を見て分かる通り、USBコネクタや一部のコネクタはライトアングル型となっているので、USBメモリやMIDIコネクタからのケーブルコネクタを挿し込もうとするとハンダ付けした部分が邪魔となってなかなか挿すことが出来なかったりすることがあります。
なので、ハンダ付け時はできる限りバックフィレットを低くして電子部品からのリード線を短く切断することをお勧めします。
さらに、CPU基板をDIPソケットに差し込もうとすると結構固く、挿し込んだつもりでも裏返しにして衝撃を与えたりするとCPU基板が抜け落ちてしまうことがありました。
そこで、自分の場合は写真のようにカプトンテープを貼付けて落ちないようにしてあります。
カプトンテープは熱に強いので、DIYではお勧めのテープです。
MIDIコネクタは下図のように固定して、コネクタは基板裏面の写真右下にある4つのライトアングルピンコネクタに差し込みます。
ファームウェアの書込み
ファームウェアはここからからダウンロード可能ですが、バージョンは2.07で止まっているようですね。
githubでは2.11(2020.3時点)が最新バージョンでしたので、最新のバージョンを使いたい場合は自分でビルドしてバイナリファイルを生成する必要があります。
ファームウェアの書込みは、色々な方法がありますが、USBメモリに予めバイナリファイルを保存しておいて、PreenFM2から操作しアップデートする方法が一番簡単かと思います。
PreenFM2フロントパネルの左上にあるENGボタンを押しながら電源を投入するとPreenFM2に取り付いているUSBメモリがパソコン上でマウント可能になります。
そこで、ダウンロードしたファームウェアをパソコン上でマウントされたUSBメモリのトップディレクトにコピーします。
次に、OP()ボタンを押すと選択メニューになりますので、ここでもう一度OP()ボタン(Flash)を押すと、トップディレクトリにコピーしたバイナリファイルが読み込まれます。
最後にINSTボタン (flash) を押すとファームウェアのアップデートが実行されます。
なお、CPUボードを公式のサイトから購入した場合は既にブートローダーが書き込まれているので、上記手順でファームウェアのアップデートは可能ですが、ブートローダーが書き込まれていない場合は、こちらに書いてある方法でブートローダーから書き込む必要があります。